赤工隆、エミー賞受賞

2024年10月4日

クリエイティブ・アーツ・エミー賞とは、1970年以降続くテレビ業界で裏方として活躍する多才な人々に授けられる栄誉ある賞です。プライムタイム・エミー賞と共に今日の人気番組を称えるこの一大イベントの授賞式がロサンゼルスのダウンタウンにあるピーコック・シアターで開かれるのですが、今年は特にSynにとって特別なものとなりました。Syn東京のチーフエンジニアである赤工隆が、FXの「SHOGUN 将軍」のADRにおいて音響部門で初のエミー賞を受賞したのです。

赤工は、妻とSynのCEOであるニック・ウッドと共に授賞式に出席し「SHOGUN 将軍」のサウンドミキシングチームの一員として表彰されました。この貴重な機会を得るために東京からロサンゼルスへ渡った赤工は、今回の受賞に対し感動の表情を隠せません。「とても驚きましたし、素晴らしい経験となりました。長年支えてくれたニックと妻とこの瞬間を共有できて嬉しい限りです。アフターパーティーでは、特にビッグバンドの演奏が素晴らしく、改めてロサンゼルスがエンターテイメント・ビジネスの中心であることを実感しました。」と赤工。ニック・ウッドとSynで最も長いチームメンバーの一人である赤工にとって、エミー賞の受賞は記憶に残る瞬間となりました。ウッドは「赤工と彼の妻と一緒にエミー賞に出席できたことは素晴らしい経験でしたし『SHOGUN 将軍』チームと同席したことにも興奮しています。赤工さんの、そしてSynの功績を誇りに思います。」と話します。


ドラマ「SHOGUN 将軍」をまだご覧になっていない方のために、ネタバレなしで紹介しますね。本作は、異なるバックグラウンドを持つ2人の男性の物語。野心あるイギリス人航海士のジョン・ブラックソーン(コズモ・ジャーヴィス)と、抜け目のない日本の武将・吉井虎永(真田広之)の人生が交差するストーリーです。

17世紀日本の鋭い描写、時代劇としてこだわり抜いたディテール、そして見事な演技力でファンや評論家から高い評価を受けており、きしむ木造船や戦う将軍たち、華麗な着物、そして当時の日本の美しい風景が描かれています。この作品がエミー賞初の非英語圏の作品としての作品賞受賞ほか18部門を受賞したのは言うまでもありません。その18の賞の一つに赤工隆の名前が、サウンドミキシングチームと共に刻まれたのです。

赤工は20年以上にわたりSynで活躍し、マーティン・スコセッシ、クリント・イーストウッド、マイケル・マンなどの著名な監督とのコラボレーションを経て、原宿にあるSyn東京のエンジニアとして取り組んでいます。ローカル、そして世界の俳優たちを温かく迎える赤工の姿勢は、Syn東京のスタジオをポストプロダクションチームの間でも高く評価されており、直近ではApple TV+の「Sunny」や「Pachinko」、HBOの「Tokyo Vice」、そして「SHOGUN 将軍」などに携わっています。


(名シーンの「虎永様!」の叫び声も、ADRがなければ実現できなかったのです!「ADRエンジニアって何をする人?」と思った方は、ADRとオーディオ・ポストプロダクションについての過去の記事をご覧ください。)

Synがオーディオ・ポストプロダクションの世界に参入したのは、ニック・ウッドが東京の施設に初めてISDN接続を導入した1996年。東京が世界と繋がると見越したニックは、この初のISDN接続によってティナ・ターナーをはじめとするアーティストとの遠隔でのコラボレーションを実現しました。“東京と世界を繋ぐ”というビジョンはSynの基盤となり、この技術の起用に先鞭をつけたのです。

今日ではリモートのコラボレーションは当たり前となっていますが、18年前には時代の先端でした。ウッドは当時を振り返ります。「1996年にISDNコーデックを導入し、スタジオを世界と繋げることが実現しました。Synは、世界中のレコーディングスタジオにリアルタイムでアクセスできるだけでなく、日本ツアー中のアーティストがミックスを確認するために音源をやり取りすることができる、というのがすぐに広まりました。

クライアントは、スティング、ジャネット・ジャクソン、ジョン・ボン・ジョヴィ、スマッシング・パンプキンズなど。そして、映画やテレビ制作にもこのシステムが使えることに気付いたんです。最初のポストプロダクションの仕事は、パトリック・スチュワートがオーディオブックを朗読するものでした。その後、クリント・イーストウッドと『父親たちの星条旗』で、マーティン・スコセッシと『沈黙 -サイレンス-』で、マイケル・ベイと『トランスフォーマー』で、著名な監督たちとも仕事をすることに。ハリウッドは小さなコミュニティーで、ポストプロダクションの監督たちから続々と問い合わせが来るようになりました。」


「SHOGUN 将軍」、「Tokyo Vice」、「Sunny」、「神の雫/Drops of God」などのヒット作により、世界の日本文化に対する関心はますます高まっています。世界中のテレビファンがこれらの作品の続編を待ち望むと共に、Syn東京はその制作にあたりADRやボイスオーバーに取り組む準備万端です。

2024年エミー賞における赤工隆と「SHOGUN 将軍」のサウンドミキシングチームに心からの祝福を贈ります!